11月29日。この日の東京は雲ひとつない秋空でした。少し肌寒い感じがしましたが、非常に清々しい気候です。私は11時にアントニオ猪木の実弟である啓介さんと合流し、啓介さんが運転する車に乗って總持寺に向かいました。
数日前に少し時間が取れたので、啓介さんに猪木のお墓参りをお誘いしました。多分、年内は海外出張等もあり、この日にしか猪木のお墓参りはできず年内は最後になります。
車中で啓介さんと猪木の思い出話等をしました。色々あった1年です。總持寺近くの花屋さんで降り、お花を買いました。啓介さんが買ってくる、と言ったので「私に買わせてほしい」とお願いしました。お墓に供える花を両手で持ちながら、ふと「猪木さんのお墓に花がなかったらどうしよう」と妙な心配をしました。命日に多くのファンの方が参っていただきましたが、あれから約2か月が過ぎようとしています。
車はお墓近くの空地に停めました。私は急いで猪木家のお墓に向かいました。まず、猪木のブロンズ像の横顔が見えました。そして数メートル行くと猪木家のお墓の前に着きました。猪木家のお墓には2対の花が供えてありました。猪木の慰霊塔にも2対の花があり、私は何故かホッとしました。
啓介さんが水屋でお線香を買いに行き、お墓に着いたので、私はつい啓介さんに向かって「ファンの方がこうして来てくれている。お花が絶えないのでいい感じやね」と言いました。私達が持参した花は2対です。私は啓介さんに「しまった!慰霊塔の花を忘れた」と笑いながら言いました。既に猪木家の花立には、おそらく2人の方が供えられたのか、2束入っていました。まだ新しい感じです。私はその2束を抜かずに、そこに1束加えました。花立には3束のお供え花が入り、少し豪華に見えました。墓石と慰霊塔に水をかけ、手を合わせました。この時に「サンタモニカに行った報告」もしました。改めて、お墓の慰霊塔や招木石を見ました。記念碑に刻まれた「道」を私は声を出して読みました。
猪木のブロンズ像に向かって「猪木さん、久しぶりです」と声を掛けました。
ところが、この日の猪木のブロンズ像の顔は何かしら寂しそうに見えました。私はブロンズ像に向かって、前に行ったり後ろに行ったりしてブロンズ像の顔を見ていましたが、どうも目が合いません。
私は啓介さんに「猪木さんの顔が寂しそうに見えるが、やはりポツンとこの墓地にいる事が合わないと思っているのかな」と言いました。この日はほとんど人影が見えません。急に、猪木がかわいそうに見えました。私は「久しぶりに来たのだから、もう少し喜んでくれよ」と言いましたが、この日の猪木は寂しそうでした。時間が来たので私は車に戻ろうとしましたが、もう一度振り返りました。猪木の顔はまっすぐ1点を見ていました。横顔もやはり寂しそうでした。
私はお線香等を売っている水屋に行き、トイレを借りました。帰り際、水屋の女性に「アントニオ猪木の関係者ですが、猪木ファンの方が来られますか」と尋ねました。女性は「いちいちお参りされる方が言われませんが、それでも猪木ファンだという方も多くいますよ」と優しい声で答えてくれました。私はお礼を述べ、駐車している車の方向に歩き「猪木さん、ファンの方も来てくれていますよ」とつぶやきました。
なんとか時間を作って、年内にもう一度行かなくてはならないかな・・・。
次回、12月5日に掲載予定です。
(「天国の猪木へ」は不定期掲載です)
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