私と啓介さんはお墓参りを済ました後、總持寺の広い境内を車で事務所まで行きました。事務所で担当のK僧侶とお話をしました。話の内容はここでは控えさせていただきますが、總持寺には石原裕次郎さんのお墓をはじめ、著名人のお墓が多数あり、対応の仕方は心得ておられます。10分程お話した後、K僧侶は「そうそう」と思い出したように「実は猪木家のお墓にこんなものが供えてありました」と言って立ち上がり、奥から段ボールの箱を持って来られました。
中を見るとIWGPのベルトがありました。私は驚きました。私は「まさか紛失したと聞いているIWGPのベルトがここにあるのですか?!」と言うと、啓介さんが「これはレプリカですよ」と言いました。K僧侶に聞くと、猪木家のお墓の慰霊塔と猪木のブロンズ像の間にある物置台の下にこのベルトが置かれてあったそうです。既に「猪木元気工場」の青木社長には伝えてあり、時間を見て引き取りに行くとの返事があった、との事です。私は「猪木元気工場が一旦お預かりします」と言って、その箱を引き取りました。私が「何故、物置台の下に置いてあったのでしょうか」と言ったところ、K僧侶は「多分、雨に濡れないように置かれたのではないでしょうか」と答えました。
思わぬ「IWGPベルト」を持って、私は新幹線に乗る品川駅まで啓介さんの車で送ってもらいました。帰り際の車中で、この「IWGPベルト」の持ち主に関して、啓介さんと色々話しました。
主に「何故、物置台の下に置いてあったのか」と「レプリカであれIWGPベルトを供えてあったのか」に話題が行きました。啓介さんは「ブロンズ像にベルトをまけばよかったのに」とか「慰霊塔にベルトを置かなかったのか」等と推理していましたが、やはり僧侶の言う「雨に濡れてはいけない」という配慮からやむを得ず、濡れないように「物置台の下」に置かれたのだろう、と私達は勝手に推理をしました。
次に「何故IWGPベルトをお供えしたのだろう」と話しました。手元にあったIWGPベルトをお供えする事で猪木との別れをしたのだろうか、等と話しているうちに品川駅に着きました。このベルトは啓介さんが責任を持って「猪木元気工場」に持って行くことになりました。
猪木に対するいろいろな思いは、猪木のファンの皆さんの数だけあるわけです。
「物置台の下に置かれたIWGPベルト」に対して、天国の猪木に感想を聞きたいものです。
「猪木さん、どう思いますか」
「知らねえよ」ですか。
新幹線に乗りながら、猪木の寂しそうな顔がまた思い浮かびました。
次回、12月10日に掲載予定です。
(「天国の猪木へ」は不定期掲載です)
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