第86回  「闘魂スタイル」騒動

2月7日の朝「天国の猪木へ」の『第84回:「闘魂スタイル」に警告書』がそのまま転用されてYahoo!ニュースに掲載されている、と身内からURLのついたメールが送信されていました。開いてみると、いきなり中嶋選手の顔が出てきて『三冠王者・中嶋勝彦に「闘魂スタイル」使用停止を求める「警告書」・・・アントニオ猪木さんのライセンスを管理する実業家が送付』との見出しでした。その後に「天国の猪木へ」の文章がそのまま転用されていたわけです。
許可なくして転用していいのか、という疑問もありましたが、済んだ事なのでまあいいかと思っていました。ただ、私が警告書を送付したのではなく、猪木元気工場の顧問であり、猪木家の顧問でもある弁護士先生が警告書を送付しています。そもそもは猪木家からの指摘があり、猪木元気工場も問題視していたのですが、文章的には私が警告書を出したような感じでした。
これもまた、済んだ話なのでいいか、と思いました。と言うのは、やはり全日本プロレス会場で猪木と何の系譜もない中嶋選手が「闘魂スタイル」を標榜して戦っている事に私自身、多少の違和感があり、Yahoo!ニュースで広く知られるのもいいかな、と思ったからです。

実は、その前日である6日の昼頃に中嶋選手から電話の着信がありました。
ちょうどその頃、会議中にて気が付いていません。着信履歴を見て知りました。改めてこちらから電話をしました。すると、中嶋選手も「湯川会長から警告書が来ているのでどうしたらいいのでしょうか」との内容でした。警告書に私の名前が書いてあるわけでもなく「なんで私」と思いつつ、「私でなく弁護士が出しているのですよ」と言って事の経緯を話しました。中嶋選手も最終的には、やはり商標登録違反に抵触する事を理解し、電話で謝罪をしていました。
私は彼に「お詫びの電話があった事を猪木元気工場及び猪木家の顧問弁護士に伝えておきます」と言いました。また、「商標登録申請中」と「登録済」との違い等も説明しました。本人は「登録済」と聞かされていたとの事です。また、猪木元気工場が「闘魂スタイル」を登録していなくとも類似性を問われる事も説明しました。電話を切った後、改めてメールで会話のポイントを中嶋選手に送信しました。
そんな事があった翌日でのYahoo!ニュースです。余りにもタイミングの良さに驚いています。むしろ、私が問題視している事は「闘魂スタイル=中嶋勝彦」よりも、全日本プロレスが「闘魂スタイル」を申請している事です。私はプロレス業界の人間ではありませんが、猪木をはじめ多くのスター選手と長年交流もあり、現在は忙しくて行けませんが、以前は各団体の試合を観戦していました。そんな中で何となく団体同士の忖度やルール、「業界の常識」等があったような気がします。いずれにしても小さな世界であり「プロレス村」ですので、今もって「全日本プロレスが申請」は、信じられない出来事であり唖然としています。「闘魂」は新日本プロレスにも間接的影響があります。新日本プロレスが「王道スタイル」等の商標登録をしているようなものです。

7日の午後にプロレス関係者の方から全日本プロレスの記者会見のURLが送られてきました。中嶋選手が記者会見で「猪木元気工場様、誠に申し訳ありません」と頭を下げた動画がありました。この動画に「茶化していますね」とのメッセージがありました。私は「プロレスですからこんなもんでしょう。中嶋選手にしてみれば、あれで精一杯でしょう」と回答しました。

他団体の関係者も「中嶋選手は何をしているのか」という声が多々、私にも届いています。話によると、中嶋選手のファンの方も「どうしたの」という声があるらしいです。何も「闘魂スタイル」等使用しなくても、立派に「中嶋スタイル」をやればいいのですが、どうしたのでしょう。
私として1つ心配があります。私が望むのは、この件で中嶋選手を業界から排除や抹殺等しない事です。将来ある個性豊かなプロレスラーです。実力もあります。ただ、彼の純粋さと世間知らずを利用している第三者がいるならば、それは許せません。

記者会見が終わった後でしょうか、夕刻に彼からメールが入っていました。
「昨日は電話ありがとうございました。また改めてご挨拶できたらと思っています。よろしくお願いします」

「闘魂スタイル」騒動を早く収めて、以前の様な「中嶋スタイル」の試合を見たいものです。

次回、2月13日に掲載予定です。
(「天国の猪木へ」は不定期掲載です)

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