第98回  詐欺師

本日は、今話題の「大谷翔平選手多額横領事件」について猪木絡みでお話します。

私の知る限り、猪木は格闘技やボクシング、それに大相撲について話した事はありますが、プロ野球やゴルフに対する興味はなかったと思います。少なくとも私とは、プロ野球に関して話した記憶はあまりありません。よって、生前猪木が「大谷翔平選手」を一般的な知識で知っていたとは思いますが、特別話題に出た事はありません。
さてご承知のように、全容が全て解明したわけではありませんが、大リーガーの大谷翔平選手の通訳である水原一平氏が大谷翔平選手の口座から多額な資金を横領したとの事です。大リーグに興味はなくとも、猪木が生きていたならばこの話題になったと思います。

さて、私は猪木と40年以上付き合ってきましたが、猪木ほど多くの人からお金を「横領」された人物は知りません。しかし、事件にはなっていません。それには2つの理由があります。
1つは、怪しい人物からの詐欺的な事業勧誘です。例えば、訳の分からないエネルギー問題の解決になる「なんちゃら永久電気発電」等、私が知っているだけでも数件はあります。
先日も実弟の啓介さんと話をしましたが、その投資金額は「億単位」です。
大谷翔平選手の被害額を軽く超えます。では、何故事件にならないのか、それは猪木本人が「被害者」の意識がないからです。周りから見れば「猪木さん、それは詐欺ですよ」と言っても受け付けません。私も何度も猪木に注意をしました。猪木自身がその詐欺的事業勧誘を本当に信じているのかどうかは分かりませんが、どこかで信じているのでしょう。その成功の先に、莫大な利益がある事を猪木自身が目論んでいた事も否定しません。しかし、その結果は全て「成就」した事がありません。費用対効果から見れば、全く無謀です。猪木をカモに詐欺的連中が狙っているわけです。よくも次々と猪木の前にこのような投資事業の話が来るな、と思った事があります。たぶん、詐欺的事業勧誘集団には「猪木太客リスト」があるのではないかと疑ってしまいます。
更に困ったことに、猪木が尊敬する人の中に「詐欺師」があります。
猪木曰く「詐欺師は夢を与える」と言うのだから、何をか言わんやです。事件にはなりません。

もう1つは、猪木自身が分かっていないままお金を抜き取られています。これは本人が分かっていません。猪木周辺の取り巻き連中がそれをするわけです。私は昔から猪木に対して「実印を他人に渡してはダメ」「カードも他人に渡してはダメ」と注意を促していました。
特に晩年、猪木が病床に臥せている時、話す機会がある度に必ずそれを言いました。
私と猪木が一時、疎遠になった時期があります。取り巻き連中から引き離された期間です。
その期間中で締結した契約書を私は根っから信じていません。例えそこに実印が押されてあっても信じていないのです。法的に問題がないと言っても、信じていません。
その時期の契約書を見ると、猪木の名前が「パソコン文字」になっていて、そこに本人の実印が押されている契約書があります。法的に問題がない、との事ですが、私は信じていません。
以前の契約書は「パソコン文字」に実印ではなく、本人が自筆で署名していました。
猪木自身が銀行に行く事はありません。その事を利用して、何らかの口実を作り、お金を引き出している人もいるでしょう。私から言えば詐欺です。この詐欺は猪木が尊敬している詐欺師とは違います。以前も掲載しましたが、私が猪木を引き取る直前に口座から多額のお金が引き出されていました。今、弁護士や公認会計士が調べています。ここから以降は遺族の方の問題ですが、厳しく対応してもらいたいものです。

さて、話は大谷翔平選手に戻ります。
私は今回の事件で「大谷翔平選手らしいな」と思い、ますます大谷翔平選手が好きになりました。
多分、大谷翔平選手はお金には無頓着なのでしょう。それだけ「野球漬け」な生活をしていると思います。そのような意味では、猪木も本質的には同じです。奇想天外な発想を持つ猪木にしてみれば「お金」は私達が考えている次元ではありません。猪木自身「自分の金は自分のもの、他人の金も自分のもの」の発想があります。どこかで猪木自身も詐欺師的要素があります。

天国の猪木に「大谷翔平選手の事をどう思います」と質問すると、いつもの「知らねえよ」とか「まだまだ小さい額だな」と言うのでしょうか。

猪木さん、生の声を、生の意見を聞かせて下さい。会いたいね。

次回、4月18日に掲載予定です。
(「天国の猪木へ」は不定期掲載です)

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