第119回  猪木のいない「猪木デー」

8月23日。
私は、猪木元気工場の青木社長と東京ドームに向かいました。既に宇田川役員と山本役員は準備の為に東京ドームに入っている、との事です。私は東京ドームには何度も来ていますが、今回のようにプロ野球観戦に来た事はありません。全てプロレスに関する事で東京ドームに来ています。入場も「関係者受付」から入るので、今回のようにチケットを持ってドームに入る事は初体験です。「関係者受付」でチケットを受け取り、入場するためのゲートを探さなければなりません。これも初体験でした。
中に入ると、いきなりグラウンドが見えます。この風景は、今年の春頃に金融関係の招待で甲子園球場に招かれたのですが、ドーム球場と屋外球場との違いはあれど特別な空間です。ちなみに私は、阪神ファンでもありません。

さて、入場時間が17時前でしたので観客数はまばらです。多くのファンの方はそれぞれの贔屓する球団のユニフォーム等を着ています。この日は「巨人対中日」でしたので、圧倒的にジャイアンツのユニフォーム姿がありました。そんな中で青木社長が、私に「道」のTシャツを着た観客がいた事を教えてくれました。「行けばわかるさ」の書いてある、あの「道」のTシャツです。
呼び掛けてビールの1杯でも奢りたい気持ちになりました(笑)。嬉しいですね。ドーム全体に「炎のファイター」のBGMが控え目に流れていました。大きなスクリーンでは、アナウンサーらしき人が『今日は「不滅の橙魂」と「燃える闘魂」のコラボ』等の説明をして、アントニオ小猪木選手が登場しました。何やら掛け合いがあり、その後、アントニオ小猪木選手は「1・2・3、ダァー!」をやりました。観客の皆さんの中で、ごく僅かな人が「ダァー!」をしてくれていましたが、今一つです。そこで私は、アントニオ小猪木選手に電話を掛け「今一つ盛り上がりに欠けているので頼みますよ」とお願いしました。藤波選手が始球式をやるという事です。また、「あと5回と7回にも出る」との事でした。
試合開始前にアナウンスが入り、始球式を行う藤波選手の紹介がありました。サプライズなのか、球場全体で軽いどよめきが起こりました。1回表の中日選手の攻撃のところで、青木社長に「出ましょうか」と声を掛けました。青木社長もそんな雰囲気でした。

私にとって、猪木のいない「猪木デー」は無意味なものでした。もし、猪木が登場したなら、球場全体はもっと盛り上がるでしょう。この日に登場した藤波選手をはじめ、何人かの出演者には本当に申し訳ないのですが、猪木の穴埋めは「1%」もできないと思います。勿論、出演者の皆さんには何の問題もありません。私の考え方が偏っているのです。
でも、私の正直な気持ちです。試合が始まって1回の表で帰る観客はたぶんいないでしょう。出口でドームの担当者から「再入場はできませんよ。本当に出るのですか」と確認されました。

私と青木社長は、水道橋駅に向かって歩きました。
「猪木がいたらなぁ・・・」。そんな小言を言って歩いていました。

猪木はもういません。

【追記】
24日の夜に猪木元気工場の山本役員が報告に来てくれました。5回の映像を見せてくれました。球場の大きなスクリーンに猪木の雄姿が映りました。そして映像の猪木が「行くぞ!1・2・3、ダァー!」。球場全体が盛り上がったらしいです。その映像を見ながら「そうだろう。やはり猪木なんだ。映像であっても猪木なんだ」と改めて猪木の凄さを話しました。東京ドームの担当者の話によると、なんと3000人のプロレスファンが駆け付けたとの事です。
「猪木グッズも全て完売です」の報告には、私自身あまり興味を示しませんでした。

猪木は凄い。この日入った観客4万人を「1・2・3、ダァー!」の映像で虜にしたのです。
藤波選手、アントニオ小猪木選手、タイガーマスク選手、その他出演者の方々、大変ご苦労様でした。出演していただいた事に感謝しています。

猪木は生きている。

次回、9月5日に掲載予定です。
(「天国の猪木へ」は不定期掲載です)

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