9月1日日曜日。この日、東京は雨でした。
私はこの日、東京から大阪に移動する事になっていましたが、台風10号の影響で新幹線が止まり、足止めを受けました。部屋で何気なくテレビを点けると、日テレ系「24時間テレビ 『愛は地球を救う』」の番組が映りました。私は10秒も見ずにテレビを消しました。
今後たぶん私は「24時間テレビ 『愛は地球を救う』」を見ないでしょう。
それは猪木を思い出すからです。生前、猪木の最後のテレビ出演が「24時間テレビ『愛は地球を救う』」でした。2年前の「24時間テレビ『愛は地球を救う』」で、猪木は8月28日に登場しました。以下は「人生はプラス思考で歩きましょう!」の第528回 生涯最期のテレビ生出演「24時間テレビ」(2022年12月1日)に掲載した内容です。
「黄色い『24時間テレビ』のTシャツを着た猪木が登場しました。たぶん左手を上げていたと思います。会場の多くの参加者の皆さんに向けて左手を上げての登場です。会場にいる参加者の皆さんから見ればテレビの画面やネットニュースで見るやせ細った猪木ではなく『生猪木』との対面です。猪木にしてもテレビカメラに向かって話すのではなく、多くの参加の皆さんに向かって出演している訳です。
過去にプロレス会場では何万人もの観客を熱狂させた男です。その猪木がどのような気持ちで車いす姿でこの舞台に立っているのでしょうか。
私は舞台の右から登場する車いすの猪木、黄色いシャツを着た猪木、左手を上げている猪木を見て急に涙が出てきました。部屋には私一人であったせいか、私は子供のように大声で泣いてしまいました。猪木の為にこんなに涙を流した事はありません。泣きながら、何故そのように泣いている自分がいるのか、もう一人の自分が不思議でなりませんでした。」
私はこの時、一人で大声で泣いてしまいました。勿論、この場面が猪木の最後のテレビ出演になる等、ゆめゆめ思っていませんでした。でも、あの涙はそれが猪木の最後のテレビ出演だと知らされているような涙であったのでしょうか。私はそんな重い気持ちからテレビを消し、部屋を出ました。外は雨が降っていましたが、傘を差しながら歩く事にしました。いつものウォーキングコースです。そして、ある場所に近付いた時、ふと当時猪木から電話が掛かってきた場所を通り掛かった事に気付きました。それは、テレビ出演をした翌日です。
同じく、「人生はプラス思考で歩きましょう!」の第528回 生涯最期のテレビ生出演「24時間テレビ」(2022年12月1日)の【追記】で掲載しています。
「翌日の昼過ぎに、猪木から電話がありました。幾分心が弾んでいる声でした。
『元気ですか!』といういつものフレーズはありませんが、ご機嫌な猪木の声にはホッとします。私は昨日の猪木の出演の感想を言いました。勿論、泣いた事などは言いません。『めちゃめちゃよかったです』と伝え、本人もそんな気持ちでした。たぶん昨日のテレビ出演から多くの方々から電話が入ったのでしょう。そういえば、私自身『24時間テレビ』を見た後、忙しくて猪木に電話をしていませんでした。『あれ、湯川から電話がないな』と思って掛かってきたのでしょうか。とにかく猪木がご機嫌なら嬉しい限りです。
後日『24時間テレビ』は最近にない視聴率を記録した事を知りました。これを猪木に伝えていませんが、伝えれば『それは俺が出たからだ』と言います。それが猪木です。
私も『猪木さんが出たから24時間テレビの視聴率が上がった』と思っています。
それにしても出演前夜と当日の朝のあのドタバタは何だったのでしょう。もしかすれば猪木は最初から出る予定であったのかもしれません。いつもの仕掛けです。それなら嬉しいです。
それにしても大の男を泣かせた『お騒がせなアントニオ猪木さん』です。」
今年は雨が降っています。幾分、歩くペースが普段より遅く歩いています。傘を差しながら、2年前の「24時間テレビ『愛は地球を救う』」の猪木の登場場面やこの場所で猪木から電話が掛かってきた事等を思い出しながら歩きました。「猪木さん、会いたいね」。
私の目は滲んでいます。雨のせいかどうかは分かりません。
猪木はもういません。
次回、9月7日に掲載予定です。
(「天国の猪木へ」は不定期掲載です)
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