2024年12月14日。
上海市内で開催される「不滅の闘魂」の会場に私は17時30分に入りました。
当日は開場18時、開始19時となっています。中国での開催は、収容人数によって当局への申請がかなり厳しくなります。運営者の話によると、基本的に中国当局は人が集まる事に警戒をするとの事です。まして「日本人」が主となる内容は特に警戒が大きくなります。そんな中での開催です。今回は500人収容会場であったので許可が下りた、と聞いています。
開始時間が近づくにつれ、会場は多くの人が並びました。開始時間になり「猪木」の映像が6分間程流れました。ナレーションは中国語です。私はそれを見ながら、改めて中国の関係者に感謝したい気持ちになりました。開始と同時に観客は起立し、スクリーンには中国国旗が映り、国歌斉唱が行われました。関係者が私に「観客の中に公安等の政府関係者がおり、チェックのために見ている」ために国歌斉唱行われ、中国国旗が映されたのだと説明を受けました。私にとっては些細な事で、とりあえず中国の方々に1人でも多く「猪木」の存在を知ってもらえればいいと思いました。
前半は中国人レスラーの試合が3試合程ありました。休憩が入り、後半になりました。
中国語は分からないのですが、「不滅の闘魂」の意味を説明しているアナウンスがあったと思います。ここで観客は更に盛り上がりを見せました。前半とは違った雰囲気になりました。出てくる選手も首に「闘魂タオル」を巻いて出場しています。上海猪木道場で練習をした中国人レスラーの林選手が出場しました。試合が終わり、観客に向かって林選手がマイクスピーチをしました。
関係者が私の横に来て、簡単な通訳をしてくれました。林選手は「最初は、アントニオ猪木先生の事を知らなかった。闘魂という言葉を知り、猪木先生の経歴も知りました。闘魂は人生においても仕事においても必要だと思っている」という主旨の話をしたとの事です。中国人が中国人に向かって、猪木の話をしてくれている。私は何とも言えない気持ちになりました。新日本プロレスの選手達も闘魂タオルを首に巻き登場。観客席から「コジマ~」「ナガタ~」「オーカーン」と日本選手の名前を呼び、声援が上がります(試合の内容は新日本プロレスのホームページをご覧ください)。
試合開始から3時間30分が過ぎ、22時30分頃に全試合が終了しました。リングに王彬が登場しました。誰よりも猪木と関わりがあった男です。会場には、猪木の入場曲「炎のファイター」が流れます。観客席から「猪木!」「猪木!」の大合唱です。私は、この瞬間をしっかり見届けたいと思いましたが、それより先に胸が詰まってきました。超満員の会場に猪木コールが湧き起こっています。王彬は全選手をリングに登場させました。王彬は「天国の猪木会長、見ていますか」と日本語と中国語でスピーチしました。
そして、会場全員が「1・2・3、ダァー!」と天に向かって拳を突き上げました。
今年の5月に上海猪木道場で練習をしていた林選手らと私が出会い、今夜の話になりました。6か月にわたる準備でしたが、新日本プロレスの協力も得て、この夜の大会が実現したわけです。
猪木が16年前の北京オリンピック終了後「中国でプロレスを広める」と話しました。志半ばで猪木は倒れましたが、中国で猪木のDNAを引き継いだ王彬やプロレスラーらによる灯を消さないようにしなくてはなりません。そのためにも猪木が創業した新日本プロレスや他の団体が継承してもらいたいと思います。
翌日、私は深圳に行きました。そこで改めて王彬と合流しました。2人で夜道を歩きながら、夜空を見て「天国の猪木さんは喜んでくれているかな」と話しました。
そして王彬は、次はもっと大きな会場でやりたい、と言ってくれました。
【追記】
今年も「天国の猪木へ」を読んでいただき、ありがとうございました。
また、多くの方々から励ましのメッセージ等もいただき感謝しています。
今年は猪木の三回忌がありました。早いものです。以前にも掲載したと思いますが、猪木が亡くなってから夜空を見る事が多くなりました。いや、正直に言えば、以前の私は夜空等ほとんど見ていません。子供の頃かどうかは分かりませんが、亡くなったら星になるような事を教えてもらった気がします。そんな関係でしょうか。猪木と話す時、夜空を見ます。
クリスマスの賑わいをあちらこちらで感じますが、明日はクリスマスイブ。
猪木とクリスマスとの関係に私は何の思い出もありませんが、夜空を見ながら猪木とクリスマスの思い出を今夜作りたいと思います。
次回の掲載予定は未定です。
(「天国の猪木へ」は不定期掲載です)
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